
今回は、転勤族の妻の“引きこもり”について書いてみようと思う。
わたし自身もそうだったのだけれど、夫の転勤についていく妻って、思っている以上に引きこもりやすい。
とくに、もともと自己肯定感が低めだったり、繊細にいろいろ感じやすい人ほど、そうなりやすい気がする。
引っ越しって、体力も気力もごっそり使う。
荷造りや手続きだけでも大変なのに、その先には知らない土地、知らない道、知らない空気が待っている。
それまで当たり前にあった生活が、ある日まとめて消える。
会社帰りに寄っていた本屋
なんとなく好きだった通り道
休日に通っていたカフェ
行きつけのご飯屋さん
自分が少しずつ育ててきた日常が、きれいにリセットされる。
わたしはHSP気質で、自己肯定感も低め。
夫の転勤で富山に来てから、しばらく無気力な日が続いた。
家にいても、何をする気にもなれなかった。
「今日も何もしていない」
「わたしってだめだな」
「わたしの人生って何なんだろう」
そんなことを考えながら、どこか沈んだ気持ちで毎日を過ごしていた。
引っ越す前から在宅で仕事をしていたのが、当時のわたしには救いだった。
仕事って、想像以上に心の支えになる。
家で働けるってありがたい。
転勤族の妻こそ、こういう働き方ができたら少しラクになる人も多いんじゃないかと思う。
でも、仕事があっても揺れる日はある。
依頼が来ない日には焦った。
自分は世の中に必要とされていないんじゃないか、と不安になった。
意味のあることをしていない自分
社会に貢献していない自分
そんなふうに、自分で自分を責めて、ますます外に出られなくなっていった。
もちろん、引きこもること自体は悪いことではない。
心のエネルギーが減っているときに、無理して外に出たり、人と関わったりすると、余計にしんどくなることもある。
ただ、ずっとひとりでいると、頭の中でマイナスな気持ちが育ちやすい。
考えごとが考えごとを呼んで、心が苦しくなってしまうこともある。
それに、家にこもっていると体が疲れないから、夜に眠れなくなる。
昼夜逆転して、昼は動けず、夜は眠れず…というループにも入りやすい。
わたしも、このままじゃつらいと思った。
だから今日は、そこから少しずつ抜け出すために、当時やっていたことを書いてみる。
▨ ノートに、頭の中を全部出す
まずやっていたのは、ノートに気持ちを書き出すこと。
きれいな言葉じゃなくていい。
前向きなことじゃなくていい。
ぐちゃぐちゃでいい。
つらい。
悲しい。
しんどい。
むかつく。
なんでわたしが。
全部いやだ。
夫のせいだ。
結婚しなきゃよかった。
そういう言葉でもいい。
人には言えないことほど、ノートには書いていいと思う。
言葉にならないなら、線をぐるぐる描くだけでもいい。
黒く塗りつぶしてもいい。
わたしも、意味のない線を延々と描いていたことがある。
転勤族の妻って、案外この気持ちを理解してもらいにくい。
周りに同じ立場の人がいないことも多いし、引っ越したばかりだと話せる相手そのものが少ない。
だから、気づかないうちにため込みやすい。
ため込んだものは、外に出したほうがいい。
まずはノート相手で十分だ。
▨ とにかく寝る
寝る。
本当にこれ、大事だった。
気持ちを書き出すと、それだけでも疲れる。
だからしっかり眠る。
睡眠不足だと、心も体もどんどん不安定になる。
逆に、ちゃんと眠れると、それだけで少し世界がやわらぐ。
体がラクになると、心もフラットに戻りやすい。
昨日まで大問題だったことが、「あれ、そこまででもなかったかも」と思える日もある。
まず寝る。
これは立派な回復行動だと思っている。
▨ チェーン店でいいから、外に出る
少し元気が戻ってきたら、外に出てみる。
いきなりおしゃれスポットじゃなくていい。
スターバックス、タリーズ、マクドナルド。そういう場所でいい。
全国どこにでもある“知っている場所”って、想像以上に安心する。
わたしも、引っ越し先でマックを見つけると、なぜかほっとした。
「あ、ここにも知ってる場所がある」と思えた。
新しい土地で疲れているときは、冒険(新規開拓)より安心を優先する。
▨ 個人経営のカフェも、心の避難所になる
少し慣れてきたら、その土地の個人経営のカフェを探してみるのもおすすめ。
店主さんと少し話せたり、手作りのごはんが食べられたり、チェーン店とはまた違うあたたかさがある。
知っている場所が増えると、その街の“アウェイ感”が少しずつ薄れていく。
自宅以外にも落ち着ける場所があると、心はかなり助かる。
▨ 店員さんとの会話も「人と話した」に入れていい
コンビニやスーパーで、
「袋いりますか?」
「ポイントカードありますか?」
そう聞かれて、
「お願いします」
「あります」
と返す。
それだけでも、わたしは人と話したことにしていた。
お会計のあとに「ありがとうございました」と言えたら、それも立派な会話である。
自己肯定感が落ちているときって、自分を責める材料探しが始まりやすい。
「今日も誰とも話していない」
そんなふうに責めるくらいなら、
「今日は店員さんと話した」
それで十分だと思う。
基準は、自分にやさしいほうでいい。
▨ 最後に
引きこもることは、だめなことじゃない。
それは心と体が「ちょっと休ませて」と言っているサインかもしれない。
必要な休息でもある。
ちゃんと休んで、少しだけ元気が出てきたら、生活に小さな風を入れてみる。
ノートでも、睡眠でも、近所のカフェでもいい。
大きく変わらなくていい。
少しずつでいい。
あなたは、思っている以上によくがんばっている。
今はまず、ゆっくり休んでほしい。
大丈夫。動ける日は、ちゃんとまた来る。