▨ 「残したいもの」を選び直す

植物に興味を持ち始めて、5年ほど。

今では、庭にも玄関にも植木鉢がたくさん並んでいる。

ひとつひとつ、ちゃんと気に入って迎えたはずなのに、気づけば「水やりをしなくちゃ…」と、義務感で植物に接するようになっていた。

特に夏。

朝たっぷり水をあげても、夕方にはカラカラ。

少し油断すると、葉っぱがしおれてしまう。

旅行に行くときも、まず頭に浮かぶのは「水やりどうしよう」。

好きで始めたはずなのに、いつの間にか少し負担になっていた。

家を建てた頃は、植物を育てることにそこまで興味がなくて、わが家の庭は、雑草対策のコンクリートと砂利が中心。

地植えが難しいから、鉢植えで楽しんできた。

レイアウトを変えられる自由さは気に入っている。

10号鉢や8号鉢に植えた植物たちが全部で20鉢ほど。

「移動のことを考えると、このくらいが限界かな」と思っていたけれど、小さい鉢ほど、水切れは早い。

そこで去年、思い切って大きなプランターに植え替えてみた。

果樹も植えられる60Lサイズ。

すると、夏でも数日くらいは水やりができなくても平気だった。

そのとき思った。

「簡単に動かせなくても、水やりが楽なほうが、わたしには合ってるのかもしれない」って。

でも、大きなプランターにするなら、置ける数は減る。

結局、数が多いままだと水やりも大変だし。

それに、正直に言うと、“そこまで気に入っていない植物”も、少しある。

(減らそうか…)

そう思うたびに、少し罪悪感があった。

まだ元気だし。
枯れているわけじゃないし。
せっかく迎えたのに。

でも最近、少し考え方が変わった。

「減らす」じゃなくて、「残したいものを選ぶ」って考えればいいんじゃないかって。

家の中の整理収納と、きっと同じ。


今うちにある植物たちは、毎年の暑い夏も冬も乗り越えてきた、いわば精鋭たち。

なかでもお気に入りなのが、オージープランツたち。

シルバーティーツリー
オリーブ
ユーカリ・ポポラス

見た目も好きだし、見ていると落ち着く。

風に揺れる感じとか、少しくすんだ葉色とか。
強いのに、どこかやさしいところとか。

きっとわたしは、あの空気感が好きなんだと思う。

逆に、「なんとなく置いているだけ」の植物もあった。

嫌いじゃない。
でも、そこまで好きでもない。

“もったいないから”だけで育て続けるのは、
なんだか違う気がしてきた。

落葉樹の、秋冬の少し寂しい雰囲気や、虫が寄りやすいところも、どうやらわたしには合わないらしい。

だから、少しずつ見直していこうと思う。


ただ、一つだけ。

そこまで好みではないけれど、残しておきたい木がある。

息子が保育園の頃、お散歩で拾ってきたどんぐり。

まさか芽が出るとは思わなくて、ほとんど放置していたのに、ある日、小さな芽が出ていた。

乾燥で弱ったり、また復活したりを繰り返しながら、今も30センチくらいの背丈で生きている。

息子は、きっと覚えていないと思う。

でも、わたしは覚えている。

小さな手でどんぐりを拾っていたことも、「みてみて〜!いっぱいひろったよ!」と自慢げに渡してくれた息子の笑顔も。


庭を整えるって、ただ植物を減らすことじゃないのかもしれない。

「これからも一緒にいたいものを選び直す」こと。

そんなふうに思い始めている。

暑くなる前に、選び直しと植え替え、がんばろうっと。

おしまい

あなたの心が、今夜少しでも軽く
やさしく包まれますように。