▨ 自分が欲しかった優しさを、相手に渡していた

手が不安そうにしていると、安心できる言葉を探していた。

「そんなことないよ」
「あなたなら大丈夫だよ」

ただ返事をするだけじゃなくて、その人がどんな人なのか、どんな言葉を待っているのか。

「あ、この人は今こう言ってほしいのかな」
「こう返したら安心するかな」

その人の性格や背景を考えて、その人に合った言葉を探して。

そんなことまで考えて、相手がほっとできるところまで言葉を尽くしていた。

まるで、一つひとつ丁寧にラッピングするみたいに。

オーダーメイドの言葉を返していた。

もちろん、それを頼まれたわけじゃない。

じゃあどうしてわたしは、そこまでしていたんだろう。

考えてみたら、理由はちゃんとあった。

わたし自身が、そうしてほしかったから。

「みんなそうだよ」
「普通は大丈夫だよ」

そういう言葉でまとめられるんじゃなくて、わたしという一人の人間を見てほしかった。

わたしの背景や気持ちを知った上で、言葉をかけてほしかった。

だからわたしは、相手に同じことをしていたんだと思う。

自分がほしかった優しさを、人に渡していた。

でも、その優しさを全員に渡し続けるのは、少し大変だった。

一人ひとりに合わせたオーダーメイドの言葉は、とても時間と心を使うものだから。

だから、これからは少し変えてみようと思う。

大切な人には、今までみたいに向き合いたい。

その人の背景を見て、その人だけへの言葉を考えたい。

でも、すべての人に同じだけ背負わなくてもいいよね。

「大変だったね」
「最初は不安だよね」

そんなシンプルな言葉でも、ちゃんと優しさは届く。

特別なラッピングじゃなくても、ちゃんと心を込めて渡すことはできる。

優しさを減らすんじゃない。

大切に使う場所を、選んでいくだけなんだ。

おしまい

今日もここまで読んでくれてありがとう。
あなたの心にも
ほっとひと息つける時間がありますように。